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復旧、リニューアル、新企画で魅力再発見の箱根旅

いよいよ7月23日始発より箱根湯本~強羅間の営業運転が再開!


2019年10月の台風による被害のため不通となっていた箱根登山鉄道の箱根湯本~強羅間の復旧作業が進み、最後まで工事が終わっていなかった強羅~宮ノ下間も完了し、試運転が2020年7月9日より始まった。そして、いよいよ7月23日始発より箱根湯本~強羅間の営業運転が再開、箱根の鉄道旅が復活する。


■10カ月近く不通だった箱根登山電車が復旧

全線での試運転を開始した箱根登山電車。強羅駅にて

箱根登山電車は箱根湯本駅を発車すると、いきなり80‰(パーミル)もの急勾配を上る。トンネルの間にあり、上りホームの片隅に銭洗弁天がある塔ノ沢駅を過ぎて、路線内で最長の大ヶ嶽隧道ともうひとつ別のトンネルをくぐると名所になっている「出山の鉄橋」で早川を渡る。その後、3か所のスイッチバックや山岳路線らしい車窓を楽しみつつ終点の強羅へと向かう。

出山の鉄橋を渡る登山電車。この情景も再び見ることができるようになる

新旧バラエティに富んだ車両の魅力など鉄道ファンでなくても観光客を引きつけてやまない登山電車は、単なる移動手段ではなく、それ自体が観光の対象なので、今回の復活は嬉しい限りだ。それに合わせるように、イベントのみならず、複数の施設のリニューアルや新企画も目白押しなので、これまで何回も箱根に足を運んだことのある人にも新鮮な魅力や驚きを与えるであろう。

箱根の観光周遊ルートとしては、登山電車、ケーブルカー、ロープウェーを乗り継ぎ芦ノ湖に至る行程が箱根ゴールデンコースとして知られている。登山電車が復旧したことで、箱根湯本から強羅までバスに頼らず、スムーズに行けることとなり、強羅からケーブルカーを利用するのも楽になった。

 

■箱根登山ケーブルカーもリニューアル

箱根登山ケーブルカー。青と赤の新型車両が使われている
箱根登山ケーブルカーの赤い車両

このケーブルカーは、2020年3月から新型車両による運行が始まっている。2両編成の車両が2つあり、1つは、登山電車のアレグラ号と同じバーミリオン箱根色、もうひとつは箱根山から見る青空をイメージした青色になっている。また、サイド窓下のHakone Tozan Cable Car の英文表記は優雅な印象を醸し出すゴールドの筆記体切文字を中心に配置していてお洒落だ。

強羅からケーブルカーに乗ると、10分で早雲山駅に到着する。ここで、ロープウェーに乗り換えることになるのだが、早雲山駅がリニューアルされた。単なる乗換駅ではなく、ちょっと休憩したくなる施設ができたのである。

まず、降りるときは分からないけれど、強羅に向かってケーブルカーに乗車するときはホームの昇降式ホーム柵に注目したい。ケーブルカーの駅としては日本初となるホーム柵だ。ケーブルカーのホームは構造上斜面になっているけれど、一番下、強羅寄りのドア付近だけは水平になっていて、車椅子でも乗降しやすいようになっている。そのすぐ近くにエレベータがあって、バリアフリーになった。

早雲山駅の昇降式ホーム柵は日本のケーブルカーの駅としては初の導入

 

■早雲山駅の新たな立ち寄りスポットcu-mo

地下1階のホームからエスカレータで上ると地上1階にコンコースがある。さらに地上2階に行くとロープウェー乗り場だ。すぐにロープウェーに乗ってもいいけれど、せっかくだから新たにオープンした「cu-mo箱根」というスポットに立ち寄ってみたい。

早雲山駅に登場した立ち寄りスポットcu-mo

展望テラスでは、箱根外輪山や強羅の街並み、天気が良ければ相模湾まで一望できる。足湯もあるので、ショップで買ったポップコーンやアイスクリームなどのスイーツ、コーヒーなどを味わいながら景色を眺めるのも楽しいであろう。

ラウンジには木材を多用したベンチがあり、雲を思わせる白いクッションもあり、旅の途中でちょっと休憩するのもいいかもしれない。ショップで買ったはがきに文章をしたため切手を貼って専用の白いポストに投函すると大涌谷の風景印を押して全国に届けてくれるそうだ。なお、cu-moという名称は、早雲山駅の「雲」と箱根の伝統工芸である寄木細工を表す「木(もく)」に由来している。

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野田 隆

のだ たかし

1952年名古屋生まれ。日本旅行作家協会理事。早稲田大学大学院修了。 蒸気機関車D51を見て育った生まれつきの鉄道ファン。国内はもとよりヨーロッパの鉄道の旅に関する著書多数。近著に『ニッポンの「ざんねん」な鉄道』『シニア鉄道旅のすすめ』など。 ホームページ http://homepage3.nifty.com/nodatch/

 

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